大学職員の仕事は今後なくなる?“安定した職業”の未来やいかに?

a robot holding a flower 大学職員の仕事
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以前、以下のツイートをしました。

このツイートを深掘りしていこうかなと。「大学職員=堅実で安定した仕事」…というイメージを抱いている方に、少し耳の痛い話をしていきます。

この記事を書いている自分自身も、30歳になるタイミングで「安定した仕事を」と考えて大学職員に転職。当然、少子化も顕在化していたので「大丈夫かな…」と一抹の不安はありましたが、まぁでも民間企業に比べれば倒産のリスクとかは低いだろう、などと考えて転職に踏みきったわけです。

ただ、実際はもう、安定性とは無縁の職場で。。。収支が明らかになる決算期になると緊迫した職員会議が開かれるんですが、職員はみな明日のごはんのことを考えてビクビク震えながら経営陣の話に耳を立てるわけであります(泣)。

正直、「大学職員=安泰」などというのは一昔前の話であり、斜陽産業であることは間違いありません。本記事では、そこらへんの実態を書いていきたいと思います。

ちなみに、基本的には「大学職員への転職を検討している方」向けに解説していきますが、ぜひ「現役の大学職員の方」にも読んでいただき、今後の大学職員のあり方について共に考えを深めていければ、と思っています。

この記事を書いた人

大学職員の経験、丸7年。求人広告の制作実績、3,000件超。「大学職員」と「転職支援」の2つのキャリアをいかし、大学職員への転職を検討している方に現場の実態を伝えます。

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大学職員の仕事がなくなるかもしれない理由①

言わずもがな、最大の問題事は少子化です。少子化により大学現場では何が起きているのかを、詳しく解説していきます。

少子化で大学は淘汰される

大学職員への転職を検討されている方のなかには、この少子化が転職の懸念材料になっているという方も少なくないはずです。

近年、高校生の大学進学率が上昇し、大学設置における規制緩和も進んだことで、大学数は増加の一途をたどっています。特に私立大学は2000年を迎えて以降、続々と新設。大学数の増加に伴い、大学運営を担う職員の数も年々増加している状況です。

一方、加速度的に進む少子化により、18歳人口はピーク時(1992年)の約205万人から、30年後の2022年には約112万人に減少。2030年を過ぎたころには、ピーク時のおよそ半数となり、100万人を割ってしまうのではと予測されています。

出典:東洋経済オンライン『18歳人口が半減』

カンタンにいうと、子どもの数がどんどん少なくなってきているのに、大学の数がどんどん増えているという矛盾が起きているわけです。

その結果どうなるのかというと、定員割れを起こす大学が出てくるわけです。現在、全国に500以上の私立大学が存在しますが、実に半数の大学がすでに定員割れという事態。これが実態です。

では、定員割れを起こしてしまった大学は、どうなるのか。

定員割れを起こすと…

「教育内容が良くないんじゃないか?」
「就職に苦労するんじゃないか?」
「入ったらバカにされるんじゃないか?」

…など、どんどんネガティブなイメージがついてしまい、受験生に敬遠される不人気大学に。

しまいには、入学定員を満たせないので教職員の人件費が払えなくなり、給与をテコ入れしなければならなくなる、という負のスパイラルに。。。

事実、少子化による淘汰はすでに始まっており、学部学科の募集停止はめずらしいことではありません。再編や他大学との合併を余儀なくされる動きも出てきており、今後さらに加速するといわれています。

少子化の影響をまともに受ける大学とは?

少子化の影響を真っ先に受けているのは、僕が勤めていたような地方の小規模私立大学ですね。

僕が勤めていた大学については、冒頭でふれたとおり。ここ数年、とても厳しい状況が続いています。15年ほど前には3000人近い学生がキャンパスにあふれていたというのに、今では1000人を切るところまで来てしまいました。わずか15年で学生数は3分の1です。

大学合同での入試説明ガイダンスに参加する際、他大学の教職員と話をすると、みなさん口々に「厳しいですね」のオンパレード。現場はまさに高校生の取り合いです。

うちの大学の場合、地元の高校生には大都市圏の大学に逃げられてしまうし、知名度のない本学に県外の生徒がわざわざ入学する理由もないという状態が続いており、辛うじて首の皮一枚残っているようなかんじで。現場の職員はビクビクしながら働いていますね。 

…と、ここまで語ってきて、こんな話をするのは矛盾するかもですが、転職先として地方の私立大学はぜったいに選ばないほうがいいかというと、そういうわけではないんですけどね。地方は地方でまた旨みがあるので。

これに関しては、大学職員をめざすなら「地方の私立大学」も選択肢に入れるべし!の記事で詳しく書いているので、興味のある方はチェックしてみてください。

大学職員の仕事がなくなるかもしれない理由②

少子化と並ぶ2つ目の脅威は、ご存じAIです。AIの進化により、大学職員の仕事が代替されてしまうのか?という話をしていきたいと思います。

結論としていえるのは、大学職員の仕事に対するAIの導入は避けられないということです。では、どういった業務がAIに代替される可能性があるのか、具体的に見ていきましょう。

大学職員の単純作業はAIに代替される

大学職員と一言にいっても、部署によってその仕事内容はさまざま。しかしながら、どの部署でも「事務処理」の業務ボリュームはかなり多いです。

まず最初に思いつくのが、大学運営におけるバックオフィス業務。経理や人事労務関係の事務処理ですね。

経費精算や給与計算、決算書作成、その他もろもろありますが、こういう定型業務はAIが最も得意とする処理かなと。特にお金にかかわる計算など“間違えてはならない処理”は、むしろAIに任せたほうが正確だし効率的ですからね。

もちろん管理部門だけでなく、教務課や学生課、入試課、就職課などにも同じような定型業務は膨大にあります。まずはこういうルーティンな単純作業から自動化されていくのかなと考えています。

では、相談窓口に訪れた学生の対応はAIにできないのか。結論、「できるはず!」というのが僕の見解です。なんてったってAIは、自ら学習し膨大な情報を記憶・応用することができる。「これ、どうすればいいんですか?」みたいな基本的な質問や相談事であれば、問題なく対応できるはずです。

人間関係の相談やメンタル面に関わる相談など、感情をもたないAIにとって難しい対応は、今までどおり職員が担当し、それ以外はAIが担当する…みたいなすみ分けになる日もそう遠くない気がしています。

大学職員の仕事がAIに代替される時期

大学職員がこれまでやっていた仕事はAIに代替される可能性大!という話をしてきましたが、ここ5年、10年でそういう未来がやってくるわけではないと思っています。つまり、もう少し先の話になるんじゃないかと。

なにせAIを導入しようと思ったら、お金がかかる…!資金の問題を考えれば、そんなすぐに導入に踏みきるわけにはいきません。そのうえ、大学の現場には職員だけでなく教員もいます。多種多様な価値観や意見が蔓延している大学では、意志決定をするにも結構な時間がかかるもの。あーだこーだ議論してるうちに10年くらい過ぎちゃうんじゃないかなぁというのが個人的な見立てですね。

民間企業では、今やAIの導入はめずらしいことではなくなりました。動き出しの遅い大学業界のことですから、きっと民間企業でAIの導入が当たり前になり、ノウハウや活用事例が充分に蓄積されてきてから検討が始まるんじゃないかなと思っています。そう考えるとやはり、AIを大学の現場に本格的に導入するまで10年はかかるかんじがしますね。

それでも大学は職員を募集する

大学現場は今、大変厳しい状況にあるということを書いてきました。しかしながら、それでもなお各大学は従前どおり職員の求人に力を入れているのも事実。

こちら↓をご覧ください。大学職員の求人件数の目安をランキング化した記事です。

大学職員の仕事が今後なくなるかもしれないというのに、なんで各大学は職員の求人をバンバン出しているのか。

理由はいたってシンプル。大学を存続させなければならないからです。少子化やテクノロジーの進化など大学を取り巻く外部環境が大きく変化するなかで、職員一人ひとりが「どう対応すべきか」を主体的に考え、実行に移していかなければならない時代にきています。

これまで大学職員には、「正しく素早い事務処理能力」が求められてきました。が、これからの大学職員に求められるのは、「自ら問題提起し解決する能力」です。

新陳代謝とまでは言わないまでも、いわゆる“新しい風”を積極的に入れていく動きが各大学に見られます。新卒はもちろんのこと、民間企業でキャリアを積んだ力のある人材を積極的に迎え入れる動きは、より顕著になっていくんじゃないかなと思いますね。

▼参考までに【これからの大学職員に求められる人物像】を貼っておきますね。

これからの大学職員に求められる人物像

◎改革精神がある人
現状の課題をそのままにせず、 課題の解決にむけて常に解決策を模索できるようなマインドがある人。課題解決力がある人、とも言い換えられる。業界全体が少子化という危機的状況にあるなか、大学として生き残っていくために、こうした積極果敢な人材を求める傾向にある。

◎主体的に動ける人
誰かの指示を待つのではなく、自らの意志で考え、行動できる人。もともと保守的な人材の多い大学職員の風土に風穴をあけられるような人材を求める傾向にある。

◎PDCAを回せる人
企画→実行→評価→改善のサイクルを自立的に回すことができる人。教育機関である大学はサイクルが1年単位になるため、ともすれば「やりっぱなし」になりかねない。そうした環境においても改善の意識をもって建設的に取り組める人材が重宝される。


転職するならこういう大学を狙え!

少子化の脅威がありながら、「定員充足にはまだ困っていないよ」という大学もまだまだ存在します。首都圏をはじめとした大都市圏の大学です。もう少し厳密にいうと、学生数3000人を超える中規模クラス以上の大学ですね。このレベルの大学は、まだ安泰といえそうです。

なにせ、学生が集まっていますからね。大学経営上、一番重要になるのが学生募集です。大学の収入は、学納金がその大半を占めているので、学生が集まっているうちは問題ない。大学職員の年収が下がることもありません。

一方で、学生数3000人未満の大学に転職するのが危険!ということではありません。ポイントはあくまで入学者の定員が充足しているかどうかです。定員充足状況は各大学のホームページに必ず記載されていますので、そちらを確認したうえで検討することをおすすめします。

では、大学職員の求人を探すには、どの転職エージェントを使えばいいか。この答えは明確で、リクルートエージェントdodaを利用するとよいです。数ある転職エージェントのなかで、この2社が大学職員の求人件数を最も多く保有しているからです。

大学職員の求人件数については、大学職員の求人に強いおすすめの転職エージェントをランキングで紹介!の記事でランキングにしてまとめているので、興味があればそちらもあわせてご覧ください。

大学職員は今でもかなりの人気求人なので、募集を早めにクローズしてしまう大学も少なくありません。大学職員への転職を本気で検討している方は、以下のボタンより早めの登録をおすすめします。

最高に使える“口コミサイト”がある

ご参考までにですが、僕が転職活動をしていたときは、転職会議という口コミサイトを使いまくっていました。いわゆる企業の口コミサイトなんですが、大学の“内部事情”もたくさん掲載されているんです。

ある日の転職会議を調べてみたところ、269件もヒット!有名大学はもちろん、地方の中堅大学や小規模大学などの口コミも載っていますよ。


①【口コミを探す】をクリック
②【業界】を「教育」に設定し、【フリーワード】に「大学」と入力
③ 269件がヒット!

現役職員&元職員のぶっちゃけ話が載っていて、職場の風土や人間関係だけでなく、あまり表に出てこない採用試験に関することを詳細に書いてくれている人もいます。

たとえば『早稲田大学』の口コミは、587件も載ってます。「事業の成長性や将来性」に関する口コミも、42件もありますね↓

転職会議の公式サイトがこちら↓です。一度のぞいてみてはいかがでしょう。

まとめ

最後に、ポイントをまとめます。

本記事で伝えたかったこと

◆大学職員の仕事がなくなることはない。

ただし、単純作業はAIに代替される可能性大。

これからの大学職員に求められる資質は「課題解決力」。

転職するなら「入学定員が充足している大学」を狙え。

斜陽産業であることは間違いないものの、現状の求人状況を見ていても、「大学職員の仕事がなくなる」ということはしばらくはないでしょう。

まぁ、仮に転職した大学が経営難に陥ったとしても、どこかの大手法人か大規模大学に買収される可能性が高いので、「職を失う」ということは余程のことがないかぎり考えにくいです。このことは、うちの大学の管理職連中も口を揃えて言ってましたね。「いっそのこと有名大学に買収されないかなぁ…」なんて寝ぼけたことをよく言ってましたので。。。

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現役の大学職員の方も、ここまで読み進めていただき、ありがとうございました。大学職員からの転職をお考えの方は、こちらの記事もあわせて読んでおくと有意義かと思いますので、ぜひどうぞ。
あわせて読みたい >> 大学職員を辞めたい!大学職員からの転職に失敗しない方法とは?

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